慰霊のことば
九州工業大学実験動物慰霊式にあたり、若松地区の利用者を代表してここに謹んで慰霊の言葉を述べさせて頂きます。
令和5年度、若松地区において研究・教育の目的で実験に供された動物は、マウス120匹、ラット54匹、魚類66匹であり、合計240匹を数えました。これらの多くの尊い命の犠牲により貴重な研究成果が得られ、学術論文や学会で多くの発表がなされました。またこれらの尊い命は、博士前期課程・後期課程の大学院生の実験に供され、生命体工学研究科の教育においても多大な貢献をもたらしました。
生命科学の目覚ましい進歩は、数多くの実験動物の犠牲の上に成し遂げられたものであります。従いまして、私たちは犠牲になった実験動物のかけがえのない生命(せいめい)に対する哀悼を、決して忘れることがあってはなりません。私たちは犠牲になった実験動物たちの命に報いるためにも、今後も動物実験規則ならびに動物実験に関する3Rの原則(代替法の利用、使用数の削減、および苦痛の軽減)に基づいた、適正な動物の飼養、保管、実験の実施に努めて参ります。また実験動物の尊い犠牲の上に得られた貴重な情報を、社会に貢献できる成果として発表し、還元することに務めて参ります。実験動物のより少ない犠牲で優れた研究成果を社会に発信していくことこそが犠牲になった動物たちにとって最大の供養になるものと信じます。
最後に、研究・教育のために犠牲になられた多くの実験動物に対し、ここに謹んで感謝と敬意を表し、私たちの健康や福祉が動物たちの命のうえに成り立っている事実を再認識して研究・教育に従事していくことを誓い、慰霊のことばと致します。
令和6年9月20日
生命体工学研究科・動物実験委員会・委員長
夏目 季代久
令和6年度九州工業大学実験動物慰霊式を遂行するにあたり、飯塚地区動物実験者を代表して、謹んで慰霊のことばを述べさせて頂きます。
令和5年度飯塚地区において、教育・研究の目的で実験に供された動物種および数は、マウス113匹、ラット49匹、アマガエル30匹、ウシガエル33匹、合計4種225匹でした。これらの尊い命の犠牲により、大学院生の貴重な研究成果が得られ、学術論文や学会で社会へ研究成果を公表する事が出来ました。さらに卒業研究や学部生の実習においても供され、本学の学生教育にも多大な貢献をもたらしました。これら犠牲となった動物数は、動物実験に関する3Rの原則、すなわち代替法の利用、使用数の削減、および苦痛の削減に基づいた、適正な実験の実施により、減らす事が出来ています。
ライフサイエンスの発展により、1つの細胞から様々な組織の再構築が可能になりつつあり、同時に細胞から生体への影響を予測できるようになってきています。しかし1つ1つの細胞や組織が集まれば生体となるわけでは無く、細胞間、組織間での相互作用がなければ生体としての機能を果たしません。つまり生体である動物から得られる研究成果は、生体システムを解き明かす上で無くてはならないものです。しかしながらこの理由が動物の尊い命を無制限に奪う事の正当性とはなりません。私達動物実験に携わる者は、動物実験の正当性の確立や、犠牲となる動物数削減への不断の努力、ならびに動物実験の必要性を社会へ説明しなければならない、など数多くの責任を負わなければなりません。この覚悟を持たずに動物実験を行なう事があってはなりません。今後もこれらの責任を果たしつつ、社会生活をより豊かにする研究成果を得る努力を行なっていきたいと思います。
最後に飯塚地区において命を捧げ犠牲となられた多くの実験動物に対し、謹んで感謝と敬意の念を表し、その御霊が安らかな眠りにつく事をお祈りして、慰霊の言葉と致します。
令和6年9月20日
情報工学研究院・動物実験委員会・委員長
委員長 引間 知広