九工大通信 KYUTECH TIMES WEB

vol.63 特集 九工大Now

宇宙ビジネスで起業した憧れの先輩に聞いてみた

宇宙ビジネスのスタートアップ企業を立ち上げ大分県在住ながら世界を相手にビジネスを展開する倉原さん。宇宙やビジネスに、どんな思い、どんな考えをお持ちなのか九工大生の2人が聞いてみました。

倉原 直美さん

宇宙分野で活躍する先輩
倉原 直美さん
工学研究科博士後期課程 電気工学専攻修了
幼いころから宇宙に興味があり、宇宙に関わる仕事に就きたくて九工大に進学。人工衛星と宇宙環境を研究テーマに学び、博士号(工学)を取得。卒業後、人工衛星の運用管制システムエンジニアとして勤務し、2016年にインフォステラを起業。

九工大生:写真左 畠山 雄樹さん/大学院工学府博士前期課程 宇宙システム工学コース1年
趙研究室に所属し、超小型衛星の研究、振動試験に関する研究をしている。留学生とともに、2024年秋に打ち上げる予定の衛星開発プロジェクトに取り組む。
九工大生:写真中央 於保 有紗さん/工学部宇宙システム工学科4年
2年生の時から衛星開発プロジェクトに参加し、OBC(オンボードコンピューター)を担当。
卒業後も大学院へ進学し、電気系の研究を希望。

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九工大でのこと 大学時代に
夢中になったことは?

研究室に入るまではアルバイトもしましたが、研究室に所属してからは研究に没頭していました。研究室に入り浸るといった感じです。そのころは今のような衛星プロジェクトはありませんでしたが、外部主催の衛星設計コンテストがあり、研究室の有志で応募しました。その1年後くらいでしょうか、研究室でもキューブサット(CubeSat)の衛星プロジェクトが始まりました。

もし戻れるなら 大学時代に戻れるとしたら何をしますか?

九工大には就職のプログラムやインターンショップなど、今思えばいろいろと学ぶ機会があったのに、当時は見逃していたと思います。本当にもったいない!今なら、もっといろんなことにチャレンジしたいです。

大学時代に戻れるとしたら何をしますか?

ワークライフバランス 仕事と家庭をどのように両立していますか?

私の場合はたまたま起業と出産が同じタイミングになりましたが、家族や会社のスタッフに理解・協力してもらいながら乗り越えることができました。当時も今も国内・海外への出張が多く、協力してくれる家族には本当に感謝しています。在宅ワークなので仕事と家事・育児をきっちりと時間で区切って両立していますが、中でも子どもと向き合う時間を大切にしています。

役に立ったこと 学生時代の何が一番役立っていますか?

最初に思いつくのは人脈です。先生はもちろん、研究の関係で築き上げたネットワークは非常に重要です。もう一つは、仮説・検証のプロセスを自分で考えてやり切った経験です。研究発表をやり切った、卒業論文をやり切った、衛星プロジェクトをやり切った。研究やプロジェクトを通して、それを繰り返している成功体験は非常に大きいと思います。

行き詰まったとき 研究や仕事がうまくいかない時はどうしたらいいでしょうか?

気持ちの切り替えやリセットすることを意識しています。行き詰った時には、一回立ち返って、目標設定や方法などをもう一度考えてみます。特に仕事に関してはうまくいかないことをずるずるとやり続けるのではなく、意識して戻る地点を設定しておくのが大事です。ここまでうまくいかなかったら止めるとか、ダメだった時にはここまで後戻りするとか。その後戻りするポイントを決めるようにしています。

事業のこと 事業を成功に導くコツは?

先に言った後“戻りするポイント”を決めておくことと、記録を残すことです。研究でもトラブルの原因特定と改善のために記録を残しますが、事業においては特に意思決定に関わることの記録を残すようにしています。事業を見直す時も、「なぜこの方法にしたのか」「なぜ始めたのか」など、「なぜ?」を何度も何度も繰り返しながら見直していきます。

モチベーション 研究や仕事へのモチベーションは?

宇宙関連の仕事がしたい!昔も今も、それにつきます。ただ宇宙関連の仕事・自分のキャリアや働き方に関しては、大学時代、ポスドク時代、社会人時代と、随分変わってきました。ポスドクから転職した頃までは、自分で起業するとは思っていませんでしたから。

研究や仕事へのモチベーションは?

起業のこと 今の通信システムは学生時代に考えたものですか?

学生時代、地上局ネットワークプロジェクトに取り組んでいる時に「こんなのがあったらいいな」とは思っていました。就職したころには宇宙ベンチャーなども増えてきていましたが、なかなか思い通りのシステムや事業計画が実現できない中で、「今やっておかないと後悔する」と思い、起業に踏み切りました。

今の学生へ 日本の学生が世界と渡り合っていくには何が必要ですか?

視野を広げることです。今は情報社会でいろんな情報が手軽に手に入りますが、自分が意識しないと入ってこない情報もあります。意識して自分の視野を広げ、その情報を自分で取りに行くことが大事です。

インフォステラが提供している“StellarStation”とは?

クラウドベースの地上局プラットフォームのこと。衛星運用者は世界中の地上局にアクセスでき、宇宙空間の人工衛星と頻繁に通信を行い、軌道からのデータを迅速に処理することが可能に。それにより衛星データの利用がさまざまな分野で活用できます。

インフォステラが提供している“StellarStation”とは?

ABOUT COMPANY

株式会社インフォステラ

2016年設立のスタートアップ企業。「すべての周回衛星用地上アンテナが一つの大きなネットワークに接続されている世界を目指して」をミッションに、新しい宇宙ビジネス向けの革新的で先進的な製品「StellarStation」を開発・運用。国境を越えた多様な専門家で構成されたチームにより、あらゆる衛星プログラムに対してソリューションを提供する。

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