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建学の精神:技術に堪能(かんのう)なる士君子

 今をさかのぼること110余年,明治42年(1909年),北九州・戸畑の地(現在の北九州市戸畑区)に九州工業大学の前身である私立明治専門学校が開校しました。戸畑からほど近い八幡の地には明治34年(1901年)に官営八幡製鉄所が設置され,日本の近代化を殖産興業から支えた重要な産業拠点となりました。八幡製鉄所を含む北部九州を中心に現存する歴史的な産業建造物群は2015年に「明治日本の産業革命遺産」として世界遺産に登録され,その歴史的価値を世界に認められたことは記憶に新しいところです。
 これらの産業施設に魂を込めるべく,日本における技術者(エンジニア)の養成を旗印として,当時の高等教育の巨人,山川健次郎博士を初代総裁として招き,安川敬一郎および松本健次郎の巨額の寄付のもと設立されたのが明治専門学校です。このときに示されたのが「技術に堪能なる士君子」の養成,すなわち技術に精通するとともに,道義心のある人格者を養成することを目的に,単に学問・技術を授けるのではなく,人間形成にも重点を置いた教育を行うという,建学の精神です。本学はその設置形態を私立から官立,そして国立大学へと変えつつも,この建学の精神を脈々と受け継ぎ,明治,大正,昭和,平成を経て,令和の現在に至るまで,日本の近代化,工業化,産業の発展に貢献する,7万人を超える優れた技術者を輩出し続けてきました。
 また,昭和61年(1986年)には,情報通信革命が始まる中,日本の情報通信技術を支える技術者を輩出するために,福岡県飯塚市に情報工学部を設置しました。平成12年(2000年)には,生命(バイオ)のもつ特性を工学的に活用し21世紀を支える技術を創出する技術者を輩出するため,北九州市若松区の学研都市内に生命体工学研究科を設置しました。
 九州工業大学は,Society5.0を目指して急速に社会が進展する中で,工学・情報工学・生命体工学の各分野で新たな知識と技術を生み出し続ける研究力を背景としながら,常に日本の産業を支え,世界で活躍できる技術者を育てる学びの場を提供し続けています。そして多くの卒業生が企業の中核技術者や経営者として社会を支え,未来を切り拓いています。
 九州工業大学は,「技術に堪能なる士君子」の養成という建学の精神のもと,幅広い理工学分野における教育と研究を通して人類・社会に貢献することを基本理念としています。この理念に則り,「ものづくり」と「情報」における新しい技術と科学の発展のため,深い専門性と幅広い知識・教養,多様な人々と協働するために必要なコミュニケ―ション力および技術者として必要な倫理観を備えた人材を育成し,グローバル社会で活躍できる優れた技術者(グローバルエンジニア)としての能力を発展・向上させることを使命としています。

 そこで,本学が入学者に期待することは以下のとおりです。

(1) 理工学分野の学修において基盤となる,数学,理科(物理,化学,生物等),情報などの理数系教科・科目に高い学力を持ち,各高等学校等が定める教育課程に従い全ての教科・科目の基礎学力を持っていること。

(2) 理工系人材として成長する強い意志と,「社会をより良くする何かを残したい,社会の問題を解決したい」という夢をもち続け,自らそのために行動できること。

(3) 国際化に対応できるコミュニケーション力の修得や,様々な文化を理解し受容することに前向きであること。

(4) 自律的な学びから広い視野を持ち,多様な人々と協働することを通して,創意・発見する知の探究を持続する必要性を理解していること。


 本学は,入学者の選抜にあたり,多様な選抜方法で,(1)~(4)の素養や能力を多面的・総合的に評価します。いずれの選抜方法においても,調査書等を用いて(1)の高等学校段階までの履修状況を確認します。加えて,一般選抜では,大学入学共通テスト,個別学力検査により,問題解決力を問うため,その基盤となる主に(1)の基礎学力と理数系の思考力・判断力・表現力等を評価します。一方,特別選抜では,本学での学修に対応できる基礎学力を問うとともに,技術者としての適性や主体性,多様な人々と協働する姿勢なども考慮し,(2),(3),(4)についても多面的に資質や能力を評価します。


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