2026年9月2日、金沢大学で開催された第44回日本ロボット学会学術講演会(RSJ2026)のインテリジェントホームロボティクスセッションにおいて、九州工業大学および北九州市立大学の学生が結成している学生プロジェクトチーム 「Hibikino-Musashi@Home」(主指導教員:大学院生命体工学研究科 生命体工学専攻 田向 権教授)の生命体工学研究科 博士後期課程 生命体工学専攻1年の小林 遼平さんら11名が、HSRコミュニティ2025年度総会での発表「競技会へ向けた知的処理の開発と脳型AIの融合」に対して優秀発表賞を受賞しました。
HSRコミュニティは、トヨタ自動車株式会社が開発した家庭用サービスロボット HSR(Human Support Robot)を用いる研究者・研究機関が集まり、研究成果の報告や情報交換を行うコミュニティです。2025年11月22日に開催された2025年度総会では、国内35研究機関が発表を行い、その中から特に優れた発表が選出されました。授賞式は、RSJ2026の会場において開催されました。
受賞対象となった発表では、Hibikino-Musashi@Homeの活動成果や田向研究室での研究成果の報告を行いました。Hibikino-Musashi@Homeの活動として、2025年7月にブラジル・サルヴァドールで開催されたロボットの世界大会RoboCup 2025 @Homeリーグ標準機部門(DSPL)において2年連続の優勝を達成したことを報告しました。また、その優勝を支えた技術として、脳の情報処理に着想を得た機械学習手法であるリザバーコンピューティングを家庭用サービスロボットに応用し、骨格情報を用いずに人の手振り動作を認識する軽量ジェスチャー認識技術の競技会での運用事例を報告しました。
さらに、田向研究室が共同開発機関とともに開発を進めているディジタルリザバーチップとホームサービスロボットを組み合わせ、チップ上で来場者の手振りを認識してロボットが記念品を届けるデモンストレーションを2025年9月に開催されたSNUG Japan 2025アカデミック・コンテストにおいて披露し、Student Excellent Awardを受賞したことも報告しました。同コンテストでは、競技会で培った知的処理技術と、低消費電力・高効率な脳型AIチップの開発を融合させ、実世界で動くロボットへ組み込む一連の取り組みが高く評価されました。
授賞式後、RSJ2026のインテリジェントホームロボティクスセッションでは、同研究科 博士前期課程 生命体工学専攻1年の二見 和磨さんが「単腕ロボットの衣服折り畳みタスクにおけるセグメンテーションとVLMを統合した把持点推定」と題した発表を行いました。
Hibikino-Musashi@HomeはRoboCup JapanOpen 2026のDSPL総合2位・OpenChallenge(研究発表部門)優勝の成績を収め、韓国で開催されたRoboCup 2026 Incheonでは、OPL(自由なハードウェアで行われるリーグ)で総合5位・OpenChallengeで優勝と、世界の強豪チームの双腕ロボット・自作ハードウェアを相手に健闘しました。今後も、2027年6月にドイツで開催されるRoboCup 2027世界大会を目指した開発を加速させるとともに、リザバーチップをはじめとする脳型AIハードウェアのロボット実装を通じて、より知的で低消費電力な家庭用サービスロボットの実現、およびコミュニティへの貢献に積極的に取り組んでまいります。
【受賞対象】
| 受賞者 | 小林 遼平 (九州工業大学 生命体工学研究科 博士後期課程 生命体工学専攻 1年) 麓 宗馬 (北九州市立大学 国際環境工学研究科 情報工学専攻 博士前期課程 融合システムコース 2年) 渡辺 太貴 (九州工業大学 生命体工学研究科 博士前期課程 人間知能システム工学専攻 2年) 矢野 優雅 (九州工業大学 生命体工学研究科 博士後期課程 生命体工学専攻 3年) 奥村 圭太 (九州工業大学 生命体工学研究科 博士前期課程 人間知能システム工学専攻 2年) 吉岡 莞汰 (九州工業大学 生命体工学研究科 博士後期課程 生命体工学専攻 3年) 平八重 壮史 (九州工業大学 生命体工学研究科 博士後期課程 生命体工学専攻 1年) 島田 蒼仁郎 (九州工業大学 生命体工学研究科 博士前期課程 人間知能システム工学専攻 2年) |
| 発表題目 | 「競技会へ向けた知的処理の開発と脳型AIの融合」 |
| 指導教員 | 田向 権 (九州工業大学 大学院生命体工学研究科 生命体工学専攻 教授) 田中 悠一朗 (九州工業大学 大学院生命体工学研究科 生命体工学専攻 准教授) 水谷 彰伸 (九州工業大学 研究本部 ニューロモルフィックAIハードウェア研究センター 特任助教) |
Hibikino-Musashi@Home 田向研究室 概要
Hibikino-Musashi@Home(主指導教員: 大学院生命体工学研究科 生命体工学専攻 田向権 教授、副指導教員: 同研究科同専攻 田中悠一朗 准教授)は「人間と共存可能な家庭用サービスロボットの実現」を目標に、九州工業大学と北九州市立大学の学生が中心となって活動する学生プロジェクトチームです。競技会への参加、ロボットデモを通じた研究成果の発表、講義で活用できる演習教材の開発を柱に活動しており、RoboCup世界大会@Home DSPLでは2017年・2018年・2024年・2025年の計4度の優勝を果たしています。
田向研究室は「Vision:全てのモノに知性を組込む、戦略的柱:エッジAIをロボットに組込む」を掲げ、脳型計算機の実現とその多角的応用を目指して活動している研究室です。ニューロモルフィックAIハードウェア研究センターにおける分野横断の研究開発がロボット応用の実装へ結びつき、日々その性能を進歩させています。
九工大は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発プロジェクト「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発/次世代コンピューティング技術の開発/ニューロモルフィックダイナミクスに基づく超低電力エッジAIチップの研究開発とその応用展開」(JPNP16007)に参画しており、リザバー計算の専用チップの開発やサービスロボット等への応用探索を推進しています。また、九工大では同窓会である明専会や企業と連携し、学生グループによる創造的なプロジェクトに対し、その活動を強力にサポートしています。
◇Hibikino-Musashi@Home公式ウェブサイトはこちら。
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◇田向研究室ホームページはこちら。
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