文字サイズの変更
標準
閉じる

本学研究職員および教員の発表論文が「JPSJ Papers of Editor’s Choice」に選出されました

更新日:2026.06.16

2026年5月29日、大学院工学研究院電気電子工学研究系のデビ・シータル研究職員と同研究系の松平和之教授が責任著者である『Direct Observation of Piezoelectricity from Electric Toroidal Quadrupole-driven Parity Breaking in Cd2Re2O7』と題した論文が、日本物理学会の学術雑誌「Journal of the Physical Society of Japan」のJPSJ Papers of Editor’s Choiceとして選出されました。

本レター論文は、九州工業大学、名古屋大学、東京大学物性研究所との共同研究により、パイロクロア酸化物Cd2Re2O7の純良単結晶を用い、レーザードップラー振動計による圧電効果(注1)の測定を行い、低温相において圧電応答の観測に成功しました。レーザードップラー振動計は、ドップラー効果を基本原理とし、レーザーを照射した箇所の速度を時間積分することで、その変位を測定することが可能です。入力した交流電場に対応した圧電歪みによる同期信号から高感度に変位を取得します。近年、電子系の多極子自由度としての理解が進み、電気双極子、電気八極子、電気トロイダル四極子が圧電効果に必要な多極子自由度(注2)であることが判ってきました。パイロクロア酸化物Cd2Re2O7が示す3つの連続した構造相転移は電気トロイダル四極子秩序(ETQ)に起因すると考えられてきましたが、レーザードップラー振動計により圧電応答が観測されたことで、電気トロイダル四極子秩序であることが、初めて実証されました。特に100 K以下のIII相(点群D4)は圧電効果を示す多極子自由度が電気トロイダル四極子だけであり、カイラルな電気トロイダル四極子による相転移が圧電応答の観測により初めて実証されました。また、III相の圧電応答はよく知られた圧電体PNM-PTと同程度の巨大な応答であり、今後の新物質開発への展開が期待されます。

(注1)圧電効果は、応力により分極が生じる正圧電効果と、電場により歪みが生じる逆圧電効果かが知られている。この双方向の性質を利用して、タッチパネル、電子楽器、カメラのオートフォーカスや手ぶれ補正などの私たちの身の回りから最先端テクノロジーまで非常に幅広い分野で圧電効果は利用されている。
(注2)物質中の電子の異方的電荷分布および磁荷分布が多極子自由度として定式化され、その多極子が生み出す交差相関現象の理論的理解が進んでいる。多極子は時間反転対称性と空間反転対称性の偶奇により、電気多極子、磁気多極子、磁気トロイダル多極子、電気トロイダル多極子の4種類に分類され、結晶構造の点群に応じて活性な多極子が分かっている。


◇掲載された論文はこちら(Journal of Physical Society of Japan)


受賞者 デビ・シータル (九州工業大学 大学院工学研究院 電気電子工学研究系 研究職員、*学術変革領域”アシンメトリ量子”PD)
松平 和之 (九州工業大学 大学院工学研究院 電気電子工学研究系 教授)
平井 大悟郎 (名古屋大学 大学院工学研究科 応用物理学専攻 教授)
廣井 善二 (東京大学 物性研究所 教授)
論文題目 "Direct Observation of Piezoelectricity from Electric Toroidal Quadrupole-driven Parity Breaking in Cd2Re2O7"

*学術変革領域”アシンメトリ量子”についてはこちら


(a) 異なる2つの測定条件で観測された逆圧電効果による変位の温度依存性. (b) II相および(c)III相の電気トロイダル四極子の概略図

(a) 異なる2つの測定条件で観測された逆圧電効果による変位の温度依存性. (b) II相および(c)III相の電気トロイダル四極子の概略図


賞状

賞状


学長室より
工学部サテライトサイト
情報工学部サテライトサイト
生命体工学研究科サテライトサイト
採用情報
九州工業大学基金サイト
明専会サイト
このページのトップへ