教養教育院は、戸畑・飯塚・若松の全キャンパスにおける教養教育科目を担当しています。教養教育科目は言語系科目と人文社会系科目からなり、学部1年次から大学院まで、専門科目と並行した学修が続きます。
九州工業大学は、深い専門知識とともに、幅広い教養と、多様な人々と協働できるコミュニケーション力を持つグローバルエンジニアの育成を使命としています。高い技術とそれが産みだす高品質なモノが真に意味を持つには、それを享受すべき人々や社会に対する深い理解が欠かせません。人の心や社会がどのように動くかを知り、専門的知識や知見をどのように伝えればよいかを知ること、それこそが教養です。
もちろん、大学の教養科目で学べることなどごくわずかですし、それも実生活や経済活動において直接役にたつような知識ではないと思われるかもしれません。しかし重要なのは、そこで得られた知識そのものではなく、情報を集め、体系化し、自分の思考として産出するための多様な技法を身に着けることであり、それはさまざまな分野の知的技法との接触によって実現されるものであると思います。学生の皆さんにはぜひ、在学期間を通じて、専門知識のみにとどまらず、問題解決力を支える幅広い教養を身に着けてほしいと思います。
グローバルエンジニアには、もう1つ必要なものがあります。それは、異なる文化と対話しつつ問題を解決していく力です。九州工業大学ではさまざまな海外派遣プログラムを用意しています。これらのプログラムは、ただ行って、帰ってきて「楽しかった」で終わるのではなく、綿密な準備教育とふりかえり学習により、海外での経験が学びとして確実に蓄積されるように構築されています。九州工業大学の学生の皆さんの中には、英語が苦手という人も少なくないと思いますが、簡単な英語とさまざまな手段を駆使して目的を達成するという小さな成功体験を積み上げて、自信につなげていってほしいと願っています。海外研修が経済的に厳しいという人のためには、ランゲッジ・ラウンジ(戸畑)やグローバル・コミュニケーション・ラウンジ(飯塚)での留学生との交流など、さまざまな機会が提供されています。これらを大いに活用して、グローバルエンジニアとして羽ばたいていってほしい。それが私たちの願いです。
九州工業大学教養教育院長 山路 奈保子