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九州工業大学は、「未来を思考する『モノづくり』と『ひとづくり』」を理念に、研究の深化と社会実装の加速を通じて、次代を切り拓く価値創造に挑戦しています。企業との共創によって社会課題の解決を目指す「産学連携による共創研究 ― 共同研究講座制度の展開 ―」と、技術力と挑戦力で世界をリードする「超小型人工衛星打ち上げ数 8年連続世界1位」の取り組みを紹介します。

産学連携による共創研究 ー 共同研究講座制度の展開 ー

九州工業大学では、産学連携を恒常的かつ戦略的に推進するため、企業が大学内に講座を設け、研究者とともにテーマを深める「共同研究講座制度」を展開しています。この制度は、企業の課題と大学の知を融合し、研究成果を社会実装へとつなげる共創型の研究モデルです。
企業研究者と本学教員が対等な立場で研究組織を構成し、実践的かつ実装志向の研究を推進しています。さらに、ポスドクや大学院生、学部学生を含むチーム体制のもと、学内リソースを最大限に活用し、課題解決型の研究を展開しています。こうした企業との中長期的な協働を通じて、実践的な研究成果の社会実装を加速しています。

共同研究講座等の概要

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共同研究講座等の概要
共同研究講座について

共同研究講座の設置状況

2016年度に本制度初の「パナソニック共同研究講座」を設置して以降、これまでに13件の共同研究講座を開設しています。

講座名称(企業名) 設置期間
SUMCO共同研究講座(株式会社SUMCO) 2017年~(現在継続中)
IoTシステム実装研究講座(パナソニックホールディングス株式会社) 2017年~(現在継続中)
ECCウェルネス共同研究講座(株式会社ECC) 2018年~
2021年
デンソーLean Automation 共同研究講座(株式会社デンソー) 2018年~
2022年
プラントライフサイクルエンジニアリング(PLE-TAKADA)講座(株式会社高田工業所) 2018年~(現在継続中)
安川電機ロボット新技術開発講座(株式会社安川電機) 2018年~
2021年
SANWA Corp. グリーンマテリアル共同研究講座(株式会社三和技巧) 2018年~
2020年
デンソー生産準備IoT共同研究講座(株式会社デンソー) 2018年~
2023年
コニシ株式会社機能性材料共同研究講座(コニシ株式会社) 2019年~
2022年
新規材料分子設計共同研究部門(株式会社ADEKA) 2019年~
2022年
釜屋電機超高信頼性デバイス共同研究部門(釜屋電機株式会社) 2019年~
2022年
上野精機次世代先端技術共同研究講座(上野精機株式会社) 2022年~(現在継続中)
GX材料デバイス研究講座(パナソニックインダストリー株式会社) 2023年~(現在継続中)

中でも、パナソニックホールディングスと連携する「IoTシステム実装研究講座」(2017年開設)およびパナソニック インダストリーとの「GX材料デバイス講座」(2023年開設)は、社会実装を見据えた研究と人材育成を両立する好例です。企業技術者と学生が協働し、IoT・GXといった次世代技術の開発を通じて、「現場で活躍できる高度技術人材」の育成を同時に実現しています。「未来を思考する“モノづくり”と“ひとづくり”」を体現しています。

「IoTシステム実装研究講座」では、パナソニックの持つ電力線搬送通信技術の用途拡大に向けて工場の三相交流配線やインフラ配管内での活用を可能とする技術開発や法整備支援を行ってきました。さらに、この技術を海中無線通信に応用するための研究開発を総務省や防衛装備庁の委託事業を獲得しながら進めています。

(図: 海中ロボットの協調行動を実現する広域海中電波通信の研究)

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海中ロボットの協調行動を実現する広域海中電波通信の研究
活動報告会(2024.12.2開催)

活動報告会(2024.12.2開催)

「GX材料デバイス研究講座」では、環境負荷を減らしつつ、エネルギーや熱を賢く有効利用することを目的に、材料およびデバイスに立脚した研究を推進しています。現在は、計算科学などの先進技術を活用しながら、資源枯渇の心配がない蓄エネデバイスやCO2ガスを資源利用するための材料研究に取り組んでいます。

未来に向けて

単一の組織や分野では解決が難しい地球規模の課題に挑むため、九州工業大学は、異なる専門性とリソースを有する企業・自治体・研究機関との連携をさらに深化させ、多様な知恵と技術を結集した革新的な研究を推進します。IoT・GX分野における先端技術シーズを社会実装へとつなぐ橋渡しを加速し、産業界とアカデミアの協働モデルを発展させることで、地域・世界に貢献するオープンイノベーション拠点を目指します。
また、パナソニックとの連携にとどまらず、企業・自治体との共同研究や受託研究は年々拡大しており、2024年度には共同研究講座を含む共同研究・受託研究受入金額が過去最高(18億円)と大きく伸長しました。今後も多様なパートナーとの産学連携を一層推進し、研究成果の社会実装と次世代人材の育成を加速させていきます。

産学連携実績

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産学連携実績

超小型人工衛星打ち上げ数 8年連続世界1位

超小型人工衛星打ち上げ数 8年連続世界1位

九州工業大学は、超小型人工衛星の打ち上げ数で8年連続世界1位(2012~2024年までに29機の衛星を開発・運用)を達成しています。また、超小型人工衛星の開発・検証を支える中核拠点として、超小型衛星試験センターを運営しており、同センターは人工衛星およびコンポーネントの振動試験において国際規格 ISO/IEC 17025 の認定を取得。衛星開発・運用の実績と高い技術力、信頼性が国際的に評価されています。

学術機関の小型衛星数(2015-2024)

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学術機関の小型衛星数(2015-2024)

※宇宙産業に関する調査で世界的に知られる「BryceTech」(米国バージニア州)が発行したレポート「Smallsats by the Numbers 2025 大学・学術機関における運用する小型・超小型衛星の数」より

これまでの経緯

2010年
振動試験や熱真空試験が実施可能な「超小型衛星試験センター」(CeNT)設置
2012年
人工衛星「鳳龍弐号」が大学として初めて打ち上げ成功
2015年
BIRDS プロジェクト始動
2016年
工学部宇宙システム工学科設置
2017年
BIRDSプロジェクトが「GEDC Airbus Diversity Award 2017」を受賞 超小型衛星試験センターがISO-17025認定を取得(人工衛星および人工衛星コンポーネントの振動試験)
2018年
第3回宇宙開発利⽤⼤賞「外務⼤⾂賞」を受賞 小型衛星分野の運用衛星数、世界1位を達成(米国調査機関BryceTechによる大学・学術機関での運用衛星数。以後、現在に至るまで8年連続で世界一位)
2022年
第5回宇宙開発利⽤⼤賞「宇宙航空研究開発機構理事長賞」(JAXA賞)を受賞
2024年
JAXAと共同で東京に「CubeSatサロン」を開設
2025年
「東京衛星開発拠点(RPPL)」を開設

※BIRDSプロジェクト:宇宙産業振興国・途上国出身の留学生を対象として超小型人工衛星の制作・運用まで実施する教育プログラム。2024年までに計10機の衛星を開発、運用を行っている(10か国は自国初の衛星開発)。
※CubeSatサロン:超小型衛星の成功率向上を実現するための効果的な支援方法の確立を目的として、東京日本橋に開設。大学・企業等に対する超小型衛星のミッション保証に関するコンサルティングを行う。
※東京衛星開発拠点(RPPL):超小型衛星開発に関するノウハウのハンズオン拠点。CubeSatサロンと両輪で衛星を用いた宇宙産業の社会実装の加速化を目指す。

CubeSatサロンについて 東京衛星開発拠点(RPPL)の紹介

現在の取組

九州工業大学では、超小型人工衛星の開発・打ち上げを教育・研究の中心に据え、2025年度には「YOTSUBA-KULOVER」を含む32機目の衛星打ち上げを予定しています。学生・教員・企業・高校生が参画する実践的プロジェクトを通じて、設計・製造・運用技術の習得と人材育成を推進。また、衛星開発のオープンソース化を進め、国内外の大学や研究機関との技術共有・共同開発を拡大しています。加えて、宇宙関連スタートアップの支援により、社会実装や地域・社会との連携強化を図り、研究成果の実用化と次世代人材の育成を同時に実現しています。

九工大発 宇宙スタートアップ

Kick Space Technologies株式会社 代表取締役 佐藤 凜

Kick Space Technologies株式会社
代表取締役 佐藤 凜

(九州工業大学 工学部宇宙システム工学科 2025年卒業生)

事業内容

超小型人工衛星の設計開発事業および周辺サービス

株式会社Kyutech Space Solution for Emergings (KS4E)代表取締役 布施 哲人

株式会社Kyutech Space Solution for Emergings
(KS4E)
代表取締役 布施 哲人

(九州工業大学 研究本部先端基幹研究センター革新的宇宙利用実証ラボラトリー 特任准教授)

事業内容

衛星開発の経験がない新興国の政府・企業向けに、九州工業大学の国際的な連携ネットワークを活用した超小型衛星開発のトレーニング事業、超小型衛星を活用した社会課題解決サービスの提供

未来に向けて

九州工業大学は、卓越的研究力の維持・発展を図るため、全学的な研究推進体制の中核として3階層のプロジェクト研究センターを定期的・戦略的に刷新しています。センターの活動成果に基づき、大学戦略経費の重点投入や間接経費獲得額に応じたインセンティブ付与を行うことで、全学的な研究力の底上げと新たな知の創出を推進しています。
このような研究基盤のもと、宇宙分野においては、これまでの超小型人工衛星打ち上げ実績を礎に、より大型・高機能なミッションへの挑戦を視野に入れ、研究シーズの拡充を進めます。国内外の大学・研究機関・企業との連携を深化させ、共同ミッションや技術交換を拡大。また、衛星技術を地球観測、災害監視、通信インフラなどの社会実装分野へ応用し、地域・社会との連携強化に貢献。さらに、宇宙関連スタートアップの支援を通じて、研究成果の実用化と次世代人材・産業の創出を加速させます。