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超高速パワー半導体用パッケージの新しい評価手法を提案

更新日:2019.05.17

-パソコンやサーバーなど情報通信用機器の小型・高効率化に貢献 -

九州工業大学次世代パワーエレクトロニクス研究センターの大村一郎教授(センター長)らは、独自の手法により、パワー半導体*(1)パッケージ*(2)の電気的な性能を高精度に測定することに成功しました。また、新たな性能指標を定義して、超高速パワー半導体用パッケージ*(3)の開発を効率化できることを示しました。

ポイント

・高周波測定技術と独自の解析手法を組み合わせ、パワー半導体パッケージの相互インダクタンス*(4)を100pH(ピコヘンリー)レベルまで高精度に測定することに成功
・Mファクタと呼ぶ新たな性能指標を導入し、精度の高い標準化可能な評価技術を提案
・この測定技術と評価技術により、パソコンやサーバーなど情報通信用機器の小型・高効率化に貢献

超高速パワー半導体チップの出現で、チップを封止するパッケージの高性能化が急がれています。しかし、パッケージの電気的な性能を正確に評価する手法がありませんでした。今回、タイム・ドメイン・リフレクトメトリ(TDR)と独自の波形解析手法を組み合わせることで、今までパワー半導体では計測が困難であった配線間の相互インダクタンスを100pHレベルで測定することに成功しました。

本技術により、次世代パワー半導体チップ用パッケージ(窒化ガリウム(GaN)素子・シリコンカーバイド(SiC)など)の高精度な性能評価が可能になります。本技術をベースに、新たにMファクタなどの性能指標を導入し、精度の高い標準化可能な評価技術も併せて提案します。パソコンやサーバーなど情報通信用機器の小型・高効率化に貢献します。


相互インダクタンスの高精度測定に用いる基板

相互インダクタンスの高精度測定に用いる基板


圧倒的な薄型化と低コスト化を実現した電流センサ

圧倒的な薄型化と低コスト化を実現した電流センサ


なお、本成果は、2019年5月19日(日)から上海で開催されるパワー半導体に関する世界最大の国際会議The 31st IEEE International Symposium on Power Semiconductor Devices and ICs (ISPSD2019)で発表します。本国際会議では、九工大よりパワーモジュール内蔵用電流センサの研究も発表します。また、新エネルギー・産業技術総合開発機構のプロジェクト「新世代Si-IGBTと応用基本技術の研究開発」の共同研究機関と連名で微細化IGBTについて2件の研究成果を発表します。

*1パワー半導体:高い電圧、大きな電流を扱うことができる半導体
*2パワー半導体パッケージ:パワー半導体を封止した外形部分。セラミックやプラスチックおよび金属などを組み合わせた薄い箱型のものが一般的。
*3超高速パワー半導体用パッケージ:従来のパワー半導体よりもさらに高速に動作するパワー半導体を封止した外形部分。
*4相互インダクタンス:ある回路の電流変化によって他の回路に生じる起電力の大きさを表わす量。単位はヘンリー。

【お問い合わせ】
九州工業大学総務課広報企画係
電話:093-884-3007 Mail:sou-kouhou*jimu.kyutech.ac.jp
(*を@に変えてお送りください)

【研究内容に関するお問い合わせ】
九州工業大学 大学院生命体工学研究科 生体機能応用工学専攻
特任准教授 附田 正則
電話:093-695-6040 Mail:tsukuda*life.kyutech.ac.jp
(*を@に変えてお送りください)


学長室より
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