イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

教授

中尾 基

なかお もとい

所属
工学研究院
基礎科学研究系
プロフィール
1968
生まれ
1995
博士(工学)
大阪大学大学院
1995
大阪大学大学院
大学院工学研究科
応用物理学専攻博士
後期課程修了
1992
大阪府立大学大学院
大学院総合科学研究科
物理科学専攻修士課程修了

1980年代、「日米半導体摩擦」、この新聞記事を見たとき、私が学部2年生でした。それ以来、半導体関連の研究・開発にこだわり続けております。現在、研究開発しておりますSiCは、グリーンイノベーションを実現する半導体材料です。

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低炭素社会を実現する次世代型SiC半導体技術の開発に成功

● 研究テーマ

  • ❖SiC-on-Insulator基板による高性能電子デバイス

● 分野

ナノ・マイクロ科学-マイクロ・ナノデバイス、電気電子工学-電子デバイス・電子機器、材料工学-構造・機能材料

● キーワード

半導体、電子デバイス、光デバイス、SOI(Silicon-on-Insulator)、SiC、ZnO

● 実施中の研究概要

現在の高度情報化社会を支えている技術であるSi半導体は、その物性上、性能限界にきており、次世代の半導体材料が切望されています。一方、SiC半導体はSi半導体に比べて、物性上優れていることから、次世代半導体として注目されていますが、この基板は、昇華法で作成されるため、大口径化が困難であり、高コスト性からも脱却できていません。
当研究室は、SiC半導体の実用化を目的に、次の研究開発を行っています。
① 大口径絶縁層埋め込み型SiC基板(SiC/SiO₂/Si)の作成
Si系次世代基板として知られているSOI(Silicon-on-Insulator:Si膜/SiO₂/Si基板)を出発材料としてその表面Si膜を単結晶SiCに変性することで作成します。出発原料であるSOI基板は、すでに市販されている大口径SOI基板を利用することでSiC基板も大口径化可能です。すでに200mm(8インチ)品の作成に成功しています。
② 絶縁層埋め込み型SiC基板を用いた高性能デバイス
絶縁層埋め込み型SiC基板を用いて、電子デバイス(MOSFET)を試作し、正常動作することを確認済みです。当該SiC半導体は高温・大電流に耐えるので、高性能ポストシリコン、パワーデバイス、自動車用半導体として期待されています。

● 今後進めたい研究

SiCによる電子デバイスと光デバイスの一体化(モノリシック化)

● 特徴ある実験機器、設備

① SOI (Silicon-on-lnsulator)のSi→SiCへ変性装置
② 半導体製造施設(MOS構造のトランジスター製造)

● 知的財産権(技術シーズ)

【特許】
▶『絶縁層埋め込み型半導体炭化珪素基板及びその製造方法』
特開 2009-111007
(絶縁層埋め込み型半導体の炭化珪素基板において、電子デバイス作に不可避である低抵抗n型不純層を形成するための工業的な方法を提案するもの)
▶『単結晶酸化亜鉛基板』 特開 2008-254997
(絶縁層埋め込み型半導体の炭化珪素基板において、高品質の単結晶ZnO層を有する発光デバイスを従来に比して、安価に製造する方法を提供するもの)
▶『表面にβ-FeSi₂層を有する光デバイス基板及びその製造法』 特開 2009-111011
(SOI基板上にイオン注入法でFe原子を導入し、表面にβ-FeSi₂層を有する、光デバイス基板を製造するための最適の方法を提供すること)
▶『発光デバイス』 特開 2009-158702
(炭化珪素を用いた、特に可視光波長領域における、炭化珪素発光素子などの発光デバイスを提供すること)

● 過去の共同研究、受託研究、産業界への技術移転などの実績

【研究】
▶『フラッシングCVD膜の評価に関する研究』 (2007)
▶『高性能SiC-on-Insulator型MOS-LSIプロセスに関する研究』 (2007)
▶『大口径SiC基板を用いた光デバイス研究開発の産学ベンチャー企業設立』 (2007)
資本金 1000万円
▶『減圧沸騰噴霧方式による、CVD膜の評価に関する研究』 (2006)
▶『絶縁層埋め込み型大口径SiC基板創製に関する研究』 (2006)
独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

● 研究室ホームページ

http://www.ise.kyutech.ac.jp/integrate/researcher/nakao_mo.html