イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

情報工学研究院

准教授

中村 貞吾

なかむら ていご

所属
情報工学研究院
知能情報工学研究系
プロフィール
1990
工学博士
九州大学
1990
九州大学大学院
工学研究科電子工学専攻
博士後期課程修了
1987
九州大学大学院
工学研究科電子工学専攻
博士後期課程単位修得退学

子供の頃に読んでいた漫画に登場した「電子頭脳」という響きの良い言葉に憧れて、人工知能(Artificial Intelligence=AI)の研究を志しました。当初は、自然言語処理研究が中心でしたが、囲碁を趣味とする私としては、ゲームは、いつかはやってみたいテーマでした。現在、取り組んでいる、組合せゲーム理論を用いたゲーム局面解析の研究は、2001年にその分野の代表的研究者である Elwyn Berlekamp教授の下で1年間勉強した成果が基となっています。

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プロ棋士でも解けない問題を解く

● 研究テーマ

  • ❖ゲ-ムプログラミングに関する研究
  • ❖自然言語処理に関する研究

● 分野

知能情報学

● キーワード

自然言語処理、ゲ-ム情報学

● 実施中の研究概要

人工知能という研究分野が生まれた頃から、ゲームやパズルを計算機にプレイさせることは重要な研究テーマでした。ゲームは、ルールが明確で勝ち負けによって強さの評価ができるし、簡単なものから複雑なものまで多種多様のゲームがあるので、AIの技術をテストする題材としては、うってつけでした(もちろん、ゲームをやること自体が面白いというのも重要な要素ですが)。
「先行きが不透明な状況でどの手を選べば答にたどり着くか?」これは探索と呼ばれる問題で、ゲーム研究で開発された探索技術は、ゲーム以外の様々な問題解決の分野でも利用されています。1997年にコンピュータチェスが頂点を極め、現在は、コンピュータ将棋もプロの域に近づいています。そして次なる目標は、そう、囲碁プログラミングなのです。
最近、コンピュータ囲碁の世界では、モンテカルロ法(注1)を用いた、新しいアプローチが成功して注目を集めています。簡単に言うと、サイコロを振って、出た目に応じて手を選んで行くシミュレーションを、膨大な回数行なうと、そのうちに、どの手が勝ちやすいのかが分かってくるというものです。この手法によって、コンピュータ囲碁の実力は急速に進歩したが、頂点を極めるためにはまだまだ足りないことが沢山あります。
その一つとして、私たちは、組合せゲーム理論と呼ばれる、数学の理論を使った、囲碁の局面解析の研究を行なっています。これは、問題を小さな部分に分解して考え、それぞれの答をうまく足し合わせて、全体の答を出す理論です。これにより、局面のスコアを厳密に計算することができ、プロ棋士でも解けないような問題に、見事に正解を与えることができるようになりました。また、局面を分割すると、一つ一つの局面のサイズは小さくなるので、全体の局面を対象にして探索するのに比べて、大幅に探索量を削減することができるようになります。

● 今後進めたい研究

ゲームをプレイするコンピュータ(たとえばコンピュータ囲碁)の研究の目標は、強いプログラムを作ることだけではありません。人間がゲームを覚えて強くなっていく過程の様々な場面で、コンピュータが相手をして適切な指導をしたり、わからないところを解説したり、人間とコンピュータが共存するための技術の開発を目指しています。

● 研究室ホームページ