イノベーション推進機構 産学連携・URA領域

九州工業大学の研究者 -私たちはこんな研究をしています-

工学研究院

教授

松本 聡

まつもと さとし

所属
工学研究院
電気電子工学研究系
プロフィール
1958年 
生まれ
1996年 
早稲田大学理工学部
博士(工学)
1984年 
早稲田大学理工学部
博士前期過程終了
修士(工学)                        

大学では応用化学を専攻していたのですが、社会人として就職したNTTで長らく半導体素子の研究開発をしてきました。その中で地球温暖化の防止にはクリーン・エネルギーの利用が必要であり太陽光発電、燃料電池に関して有効にエネルギーを利用することが必要だと考えるようになりました。今後のユビキタス社会ではクリンエネルギーを利用した自立型電源が必要であり、微弱なエネルギーを有効利用時代が必ずやってくると思います。

持続可能な社会実現をめざした
電気エネルギーの有効利用の研究

● 研究テーマ

  • ❖ 環境調和型エレクトロニクス
  • ❖ パワーエレクトロニクス
  • ❖ 半導体デバイス

● 分野

電力工学・電力変換・電気機器 電子・電気材料工学                                  

● キーワード

電源、パワーIC、パワーデバイス、エネルギーパースペクティブ

● 実施中の研究概要

 地球規模の気候変動防止を狙いとして炭酸ガス排出量の抑制方法の検討が積極的に進められています。私は2050年には最終エネルギー消費の50%が電気エネルギーになることを見据え、電気エネルギーの有効利用の研究を行っています。具体的には、電源やパワーICを用いた電気エネルギーの有効利用を検討しています。特に電源は、15年で体積が約1/10になっており、小型化された電源を多数用いて電気エネルギーを有効利用する方法を検討しています。また、電源を小型したり、エネルギーを有効利用するためのパワーICや集積化した電源(1チップ電源)の研究開発を進めています。電源やパワーICを用いた電気エネルギーの有効利用技術の研究としては、携帯機器、センサノード、無線システムやテレメトリーに用いる太陽光発電を用いた小容量の自立型電源システムの研究を進めております。現在の太陽光発電は、1M~1GWの大容量システム、住宅や工場、公共施設などの屋根に設置するkw程度の中容量システム、数百m~10数Wの小容量システムがあります。このような用途に用いる小容量の太陽光発電は必ずしも日射条件のよいところで用いられるわけではないため、従来の太陽光発電では部分日陰で影ができると出力電力が大幅に低下する、あるいはゼロになるという問題があります。これは、直列した乾電池の中にカラの電池があると全体の出力電力がゼロになることと同じです。単結晶シリコン(Si)太陽電池の場合、1セル当たりの出力電圧は+0.5V程度に過ぎません。セルの面積を大きくしても出力電圧は高くならず、+0.5Vの電圧では電子機器を直接駆動できないばかりか、Liイオン2次電池やNi水素2次電池などを充電することもできません。部分日陰の問題に対して、大容量、中容量のシステムの場合は複数の電池セルで構成した太陽電池モジュールごとにバイパス・ダイオードを実装することで対応しています。この方法は携帯電話などの小容量システムに適用するのは難しく、この課題については単セルの太陽電池が出力する+0.4Vといった低い電圧から動作する「極低電圧昇圧回路」を開発により解決しました。極低電圧昇圧回路で昇圧し2次電池にDC-DCコンバータを接続し所望の電圧にして充電すればよいわけです。しかし、+0.4Vという低い電圧で極低電圧昇圧回路を駆動するのは簡単ではありません。この回路中のスイッチング素子であるパワーMOSFETのしきい値が+1V以上もあるからです。そこで、+0.4Vでも駆動する極低電圧入力昇圧回路とその昇圧制御ICを開発しました。また、太陽光の日射は時々刻々と変化しており、また周囲温度により太陽電池の発電量が変化します。このため太陽光発電では、最大電力追従機能(MPPT)が必要となります。大容量や中容量の太陽光発電では、MPPTを実現するためマイコンやDSPを用いておりましたが、携帯機器用の太陽電池では、これらの消費電力がが発電量を上回るためMPPTの適用が困難でした。このような背景のもと、低消費電力のMPPT機能を消費電力数mWのハード・ワイヤドのロジック回路で実現しました。実際に試作した極低電圧入力昇圧回路を搭載した太陽電池モジュールと直列した従来の太陽電池モジュールを1日当たりの発電量で比較すると1.4倍になることがわかりました。今後は、低コスト化、高効率化、大容量化を狙いとして、部品技術までさかのぼり、研究開発を進めます。

● 今後進めたい研究

環境調和型エレクトロニクスとして電気エネルギーの有効利用の研究、太陽電池や燃料電池等のクリンエネルギーの有効利用の研究、電気エネルギーを有効利用するための電力変換機器の小型化・高効率化の研究

● 知的財産権(技術シーズ)

1)半導体装置の製法
松本 聡 大野晃計 泉勝俊
特許2012480号
2)半導体装置
松本 聡 大野晃計 泉勝俊
特許2036163号
3)半導体装置の製造方法
松本 聡 大野晃計 泉勝俊
特許2064060号
4)半導体装置の製造方法
松本 聡 大野晃計 泉勝俊
特許2757262号
5)縦型MIS電界効果トランジスタの製法
松本 聡 大野晃計 泉勝俊
特許2949302号
6)横形MOS電界効果トランジスタ
酒井達郎 松本聡 金 逸中 谷内利明 福滿高雄 菅井昭彦 越後谷天恒
特許3232343号
7)横形MOS電界効果トランジスタ
酒井達郎 福滿高雄 谷内利明 松本聡
特許3334313号
8)絶縁ゲート型電界効果トランジスタ
松本 聡 石山俊彦 平岡靖史 酒井達郎 谷内利明
特許3356269号
9)絶縁ゲート型トランジスタ
松本 聡 谷内 利明 伊藤 昭男 有本 由弘
特許 3370263号
10)絶縁ゲート型電界効果トランジスタ
松本 聡 谷内 利明 伊藤 昭男 有本 由弘
特許 3370269号
11)絶縁ゲート型電界効果トランジスタ
松本 聡 谷内 利明 有本 由弘 伊藤 昭男
特許3403040号
12)絶縁ゲート型電界効果トランジスタ
松本 聡 酒井 達郎 谷内 利明 村口 正弘 井田 実 伊藤 昭男 有本 由弘
特許3403041号
13)絶縁ゲート型電界効果トランジスタおよびその製造方法
松本 聡 酒井達郎
特許3416725号
14)整流素子およびその製造方法
松本 聡 酒井達郎
特許3430457号
15)電源装置
金井康通 三野正人 松本 聡 桂 浩輔
特許3866255号
16)昇圧装置
金井康通 三野正人 松本 聡 秋山 一也 桂 浩輔 大脇 純一 中山 諭
特許4223041号
17)電源装置、電源制御方法および電源制御プログラム、並びに、メンテナンス装置、メンテナンス方法およびメンテナンスプログラム
金井康通 三野正人 松本 聡
特許4224469号

外国
1)昇圧装置
金井康通 三野正人 松本 聡 秋山 一也 桂 浩輔 大脇 純一 中山 諭
ZL200480001041.7(中国)
2)昇圧装置
金井康通 三野正人 松本 聡 秋山 一也 桂 浩輔 大脇 純一 中山 諭
07345458(アメリカ)
3)昇圧装置
金井康通 三野正人 松本 聡 秋山 一也 桂 浩輔 大脇 純一 中山 諭
07449866 (アメリカ)

● 関連リンク先

❖ 研究室ホームページ

❖ より詳しい研究者情報

https://hyokadb02.jimu.kyutech.ac.jp/html/70_ja.html